今年の接戦のF1チャンピオンシップを過去のポイントシステムに置き換えたら②

こんにちは。どもるーんです。


前回に引き続き、今回も、今シーズンのF1チャンピオン争いを過去のポイントシステムに変えるとどうなるか、検証してみます。

 

 

▼前回の記事はこちらです

domo-22mcl.hatenablog.com

 

 

 

ルール

  • 当時のルールを今季のF1シーズン(全22戦)に当てはまるよう適宜調整
  • ポイント集計は第16戦終了時点
  • ハーフポイントレースは通常レース点数の半分
  • 有効ポイントで並んだ場合、上位回数の多いほうがランキングで上位となる

 

2021年のチャンピオンシップ(第16戦終了時点)

順位 コンストラクター 得点
1 メルセデス 433.5
2 レッドブル 397.5
3 マクラーレン 240
4 フェラーリ 232.5
5 アルピーヌ 104
6 アルファタウリ 91
7 アストンマーチン 61
8 ウィリアムズ 23
9 アルファロメオ 7
10 ハース 0

ドライバーズ同様、コンストラクターズも一騎打ちの様相を呈しています。名門同士の3位争いも熾烈になっていますね。

それでは、細かく見ていきましょう。


1958~1959年

1位から5位まで8-6-4-3-2ポイント。全ラウンドのうち半数を有効ポイントとします。今季の場合は全22戦なので上位11戦を得点対象にします。なお、ドライバーズで加算されていたファステスト・ラップの1ポイントはノーカウントです

そして何より重要なのが、今とは異なり、チーム内で一番成績のいい順位しか反映されないことになります。そのため、1-2フィニッシュしても、加算されるポイントは1位の8ポイントのみになります。

 

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 レッドブル 86
2 メルセデス 84
3 フェラーリ 39
4 マクラーレン 38.5
5 アストンマーチン 9

なんとここで早くもレッドブルメルセデスを逆転しています。優勝回数がそのまま反映されたといったところでしょうか。また、3位もフェラーリがとっています。

5位にはアストンマーチンが来ています(アルファタウリと同点)。バクーでのベッテル2位表彰台が効きました。

ちなみに今季1勝のアルピーヌは、それ以外のラウンドでいずれも6位以下のため、8ポイントにとどまりました。

 

1960~1961年

1位から6位まで8-6-4-3-2-1ポイント。全ラウンドのうち5割強(12戦)を有効ポイントとします。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 レッドブル 86
2 メルセデス 84
3 フェラーリ 40
4 マクラーレン 38.5
5 アルファタウリ 11.5
6 アルピーヌ 11

6位まで入賞圏が拡大すると、アルファタウリが僅差で5位に躍り出ました。アルピーヌの6位2回に対し、アルファタウリは6位3回でした。アストンマーチンは9ポイントで変わりませんでした。

 

1962~1966年

1位のポイントが9ポイントになりました。全ラウンドのうち5割強(12戦)を有効ポイントとします。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 レッドブル 93
2 メルセデス 90
3 フェラーリ 40
4 マクラーレン 39.5
5 アルピーヌ 12
6 アルファタウリ 11.5

今季優勝コンストラクターがポイントを積み上げ、マクラーレンフェラーリに0.5点差まで迫り、アルピーヌアルファタウリを上回りました。

 

1967~1978年

ポイントは前項と同じ。シーズンを前後半11戦ずつに分け、各下位1戦ずつをノーカウントとします。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 レッドブル 99.5
2 メルセデス 96
3 フェラーリ 42
4 マクラーレン 40.5
5 アルピーヌ 12
6 アルファタウリ 11.5

ドライバーズ同様、前半戦全戦入賞のチームがいないため、獲得ポイントがそのまま反映されています。後半戦のポイントは現時点ですべて対象になっています。

 

1979~1990年

ポイントは前項と同じ。全戦のポイントが対象。さらに、参戦全ドライバーの成績が対象となります。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 メルセデス 130
2 レッドブル 121.5
3 マクラーレン 50.5
4 フェラーリ 46
5 アルピーヌ 15
6 アルファタウリ 12.5

ここでメルセデスがトップ。ボッタスのセカンドドライバーとしての働きが活きています。マクラーレンも3位に上がりました。

 

1991~2002年

1位から6位まで10-6-4-3-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 メルセデス 136
2 レッドブル 129
3 マクラーレン 51.5
4 フェラーリ 46
5 アルピーヌ 16
6 アルファタウリ 12.5

8勝のレッドブルと6勝のメルセデスが、それぞれ7.5ポイントと6ポイントを積み上げて差が7点になりました。

 

2003~2009年

1位から8位まで10-8-6-5-4-3-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点 変動
1 メルセデス 173
2 レッドブル 158
3 マクラーレン 91.5
4 フェラーリ 90.5
5 アルピーヌ 32
6 アルファタウリ 31.5
7 アストンマーチン 20
8 ウィリアムズ 7

優勝の重みが減り、7位8位の小刻みな点数でフェラーリアルファタウリがライバルに迫っています。

 

2010年~2013年、2015~2018年

1位から10位まで25-18-15-12-10-8-6-4-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

コンストラクターズポイント
順位 コンストラクター 得点
1 メルセデス 420.5
2 レッドブル 389.5
3 マクラーレン 237
4 フェラーリ 232.5
5 アルピーヌ 104
6 アルファタウリ 91
7 アストンマーチン 61
8 ウィリアムズ 23
9 アルファロメオ 7
10 ハース 0


今年のポイントからファステストポイントと予選スプリントのポイントを引いたものです。ドライバーズではフェルスタッペンのエクストラポイント(ファステストポイント+予選スプリントポイント)が目立ちましたが、コンストラクターズではメルセデスが13ポイント、レッドブルが8ポイントでした。また、マクラーレンも3ポイント分フェラーリに詰め寄られています。

 

まとめ

ドライバーズに比べ、「ライバルチームより前でフィニッシュする傾向が強く出るレッドブル vs 優勝は獲られても2位3位を固めて堅実に行くメルセデス」という構図が浮き彫りになっていました。

 

ポイントはたかが数字でしかありませんが、優勝に重きを置くのか、安定感に重きを置くのか、カリスマ1人が率いるチームと2人とも速いチームのどちらを最強とみなすか、そのためにはどう評価を振り分けるか、このスポーツの一番を決めるうえでこの議論は尽きません。

 

ポイントシステムの変遷は「史上最強のF1ドライバーは誰か?」ということにまで影響を及ぼします。かつて今宮純さんが「F1で2度入賞すればグレート・ドライバー」と言っていましたが、当時は26台(予備予選まで含めれば約40台)中上位6位。それに比べ、現在は20台中上位10位と入賞へのハードルが低くなっています

 

グレートの定義は何か、ドライバーのパフォーマンスをどう評価している/すべきか、そんな観点からF1を見てみるのも面白いかもしれません。