今年の接戦のF1チャンピオンシップを過去のポイントシステムに置き換えたら①

こんにちは。どもるーんです。


今回は、今シーズンのF1チャンピオン争いを過去のポイントシステムに変えるとどうなるか、検証してみます。

 

 

ルール

  • 当時のルールを今季のF1シーズン(全22戦)に当てはまるよう適宜調整
  • ポイント集計は第16戦終了時点
  • ハーフポイントレースは通常レース点数の半分
  • 有効ポイントで並んだ場合、上位回数の多いほうがランキングで上位となる

 

2021年のチャンピオンシップ(第16戦終了時点)

順位 ドライバー 得点
1 マックス・フェルスタッペン 262.5
2 ルイス・ハミルトン 256.5
3 バルテリ・ボッタス 177
4 ランド・ノリス 145
5 セルジオ・ペレス 135
6 カルロス・サインツ 116.5
7 シャルル・ルクレール 116
8 ダニエル・リカルド 95
9 ピエール・ガスリー 74
10 フェルナンド・アロンソ 58

今シーズンは、ここ数年ぶりの1対1、シーソーゲームのチャンピオン争いとなっています。この争いがもし過去のポイントシステム上だったら、フェルスタッペンハミルトンのどちらかが大きく抜け出すのか、それとも接戦のままになるのか、気になりませんか?

それでは、細かく見ていきましょう。


1950年~1957年

1位から5位まで8-6-4-3-2ポイント。さらにファステストラップには追加で1ポイント。全ラウンドのうち半数を有効ポイントとします。今季の場合は全22戦なので上位11戦を得点対象にします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 81
2 ルイス・ハミルトン 76
3 バルテリ・ボッタス 50
4 ランド・ノリス 33
5 セルジオ・ペレス 32

優勝回数の多いフェルスタッペンハミルトンより上というのは変わらず。

ノリスペレスが僅差ですが、ぎりぎりノリスが上です。

1958~1959年

ポイントは前項と同じ。全ラウンドのうち5割強(12戦)を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 85
2 ルイス・ハミルトン 78
3 バルテリ・ボッタス 50
4 セルジオ・ペレス 33
5 ランド・ノリス 33

1戦分増えると、フェルスタッペンが2点、ハミルトンペレスが1点ずつ加え、ペレスは4位に上がりました。

1960年

1位から6位まで8-6-4-3-2-1ポイント。全ラウンドのうち5割強(12戦)を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 82
2 ルイス・ハミルトン 75
3 バルテリ・ボッタス 47
4 セルジオ・ペレス 32
5 ランド・ノリス 32
6 シャルル・ルクレール 25

FLポイントの廃止と6位入賞まで拡大の影響もあり、メルセデスはポイントを減らしました。また、ペレスノリスと同点ながらバクーでの優勝が効き4位。

1961~1966年

1位から6位まで9-6-4-3-2-1ポイント。全ラウンドのうち5割強(12戦)を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 88.5
2 ルイス・ハミルトン 80
3 バルテリ・ボッタス 48
4 セルジオ・ペレス 33
5 ランド・ノリス 32
6 シャルル・ルクレール 25

優勝の重みが増えた分、フェルスタッペンが有利になりました。

1967~1978年

ポイントは前項と同じ。シーズンを前後半11戦ずつに分け、各下位1戦ずつをノーカウントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 88.5
2 ルイス・ハミルトン 82
3 バルテリ・ボッタス 48
4 セルジオ・ペレス 33
5 ランド・ノリス 32
6 シャルル・ルクレール 25

11戦全戦入賞中のドライバーがいないため、獲得ポイントがそのまま反映されています。この時期のポイント制は、シーズン全体での一貫した戦力を重視するため、「波に乗って9点か0点」というドライバーは評価されにくかったでしょう。

1979年

ポイントは前項と同じ。シーズンを前後半11戦ずつに分け、各上位6戦を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 76.5
2 ルイス・ハミルトン 67
3 バルテリ・ボッタス 45
4 セルジオ・ペレス 30
5 ランド・ノリス 26
6 シャルル・ルクレール 25

安定してポイントを積み上げているハミルトンノリスが、逆に点数を大きく失うことになりました。

1980年

ポイントは前項と同じ。シーズンを前後半11戦ずつに分け、各上位8戦を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 88.5
2 ルイス・ハミルトン 79
3 バルテリ・ボッタス 48
4 セルジオ・ペレス 33
5 ランド・ノリス 30
6 シャルル・ルクレール 25

シーズン前後半で分けるのはこの年までです。ノリスは前半戦11戦中9戦でトップ5フィニッシュなので2点分が捨てになります。

1981~1990年

ポイントは前項と同じ。全ラウンドのうち約7割(15戦)を有効ポイントとします。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 88.5
2 ルイス・ハミルトン 80
3 バルテリ・ボッタス 48
4 セルジオ・ペレス 33
5 ランド・ノリス 32
6 シャルル・ルクレール 25

このシステムでは、1961~1966年のシステムとほぼ同じような結果になりました。

ちなみにマクラーレンホンダが16戦15勝を挙げた1988年も、16戦中約7割にあたる11戦が有効ポイント対象になりました。

1991~2002年

1位から6位まで10-6-4-3-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 95
2 ルイス・ハミルトン 87
3 バルテリ・ボッタス 49
4 セルジオ・ペレス 34
5 ランド・ノリス 32
6 シャルル・ルクレール 25

このポイントシステムでは、チャンピオンシップ争いでのライバルとの距離感がつかみやすくなりました。さらに優勝の重みが増し、フェルスタッペンハミルトンがますます点数を伸ばしました。

2003~2009年

1位から8位まで10-8-6-5-4-3-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

ドライバーズポイント
順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 105
2 ルイス・ハミルトン 104
3 バルテリ・ボッタス 69
4 ランド・ノリス 57
5 セルジオ・ペレス 53
6 シャルル・ルクレール 46.5
7 カルロス・サインツ 44
8 ダニエル・リカルド 34.5

優勝の重みが減り、より安定した成績をコツコツ残すことが重視されるようになりました。これまで見てきたものの中で、一番フェルスタッペンハミルトンの差が小さくなっています。

2010年~13年、2015~18年

1位から10位まで25-18-15-12-10-8-6-4-2-1ポイント。全戦のポイントが対象。

順位 ドライバー 得点 変動
1 マックス・フェルスタッペン 254.5
2 ルイス・ハミルトン 250.5
3 バルテリ・ボッタス 170
4 ランド・ノリス 144
5 セルジオ・ペレス 135
6 カルロス・サインツ 116.5
7 シャルル・ルクレール 116
8 ダニエル・リカルド 93
9 ピエール・ガスリー 73
10 フェルナンド・アロンソ 58

今年のポイントからファステストポイントと予選スプリントのポイントを引いたものです。今年6点差のはずのフェルスタッペン-ハミルトンが4点差に縮まっていることから、いかにフェルスタッペンがスプリントレースでのポイント獲得機会を活かしているかがわかるでしょう。

 

まとめ

どのポイントシステムをとっても、フェルスタッペンハミルトンの順位が変わることはありませんでした。優勝の価値が重くなる一昔前だともう少し差が広がるというのも、「速さのフェルスタッペン・安定のハミルトン」を象徴しているようで興味深いですね。

次回は、コンストラクター部門に焦点を当ててみたいと思います。